真宗大谷派西敬寺

他力(たりき)

<自力>の対語として用いられる。一般には仏・菩薩による加被力、加護をさす。真宗では阿弥陀仏の本願のはたらきをさし、信心を得ることも、種々の行いも、すべて仏の願力によるとする。他人の力と解するのは誤りで、いわゆる自力を支え、自力の根源をなす超越的な力を意味する。中国の曇鸞(どんらん)は『往生論註』の中で、「人にさとりを求めさせる力も、さとりを開いた人が迷っている人びとを教え導く力も、他力による」(往還回向由他力)といっている。「ただひとすぢに仏の本願を信じ、わが身の善悪をかへりみず、決定往生せんと思ひて申すを他力の念仏といふ」[黒谷上人語灯録(12)]。(岩波仏教辞典)